大塚信之介弁護士

平成23年交通安全白書によれば、平成22年中の交通事故発生件数は72万5773件で、これによる死者数は4863人、負傷者数は89万6208人であるとされています。
人口10万人当たりの死傷者数を計算すると、なんと703.7.3人が交通事故に遭い死亡若しくは傷害を負っているということになります。
「行ってきます！」と元気に家を出て行った人が突然亡くなったり、大怪我を負ったりしてしまう……
交通事故は、一瞬にしてその人の人生や周りの人の人生を狂わせてしまう、誰にとっても身近で悲惨な出来事なのです。
交通事故の被害に遭われた方が加害者に対し、損害賠償を請求するのは正当な権利行使です。
弁護士は、交通事故被害者の方の権利行使を実現すべく尽力をします。
ただ、忘れてはいけないのは、損害賠償の支払いを受けたからと言って、健康な身体や将来実現できると思っていた夢、何気なく送っていた日々の幸せな暮らしが戻ってくるわけではないということです。
交通事故被害者の方が金銭的手当を受けるというのは、損害の一部の穴埋めにすぎないのであり、事件の真の解決にはならないのです。
これまで、交通事故の事件に携わり、「お金ではない」という依頼者の方々の言葉をよく聞きました。
交通事故被害者の方が受けた苦痛、悔しさ、悲しさ、虚しさ、憤り、後悔……
こういったものは、本来お金では評価できないものだと思います。
しかし、お金でしか評価できない現実もあり、そこが難しいところだと思います。
民法が金銭賠償の原則を採用している以上、交通事故被害者の方の苦しみを金銭的評価にして賠償請求をせざるを得ませんが、そうであるからこそ、私は被害者の方の「気持ち」を大切にし、被害者の方の受けた損害を少しでも多く埋められるように努力をしたいと思っています。

埼玉県さいたま市浦和区岸町7-12-4ニチモビル浦和4階

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